CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2022-07-27
社会保険労務士 齊藤労務事務所   齊藤 拓也
健康保険組合とは


皆様、こんにちは。
社会保険労務士の齊藤です。
今回のコラムは「健康保険組合」についてです。

健康保険組合とは


健康保険組合とは、厚生労働大臣の認可を受けて設立された健康保険に関する事業を運営する公法人で、次の2つの組織形態があります。

単一健康保険組合
単独の企業が設立する健康保険組合で、規模要件として常時700人以上の被保険者が必要。
総合健康保険組合
複数の企業が共同して設立する健康保険組合で、規模要件として常時3,000人以上の被保険者が必要。

単一健康保険組合は名称に企業名が、総合健康保険組合は名称に業種や業界に関するワードが入っているのが一般的です。健康保険組合への加入に関して、単一健康保険組合には関係会社以外加入することはできませんので、単一健康保険組合に加入できないときは、総合健康保険組合への加入を検討することとなります。

協会けんぽと健康保険組合の違い


以下は、協会けんぽと健康保険組合の主な相違点になります。

■ 保険料率


健康保険組合は、保険料率を3%から13%の範囲内で自主的に決めることができます。
健康保険組合の連合組織である「健康保険組合連合会」によると、令和4年度予算ベースの平均保険料率は9.26%(実質保険料率は9.85%)とされ、協会けんぽの平均保険料率10.00%よりも低い数値となっています。

■ 保険料の負担割合


協会けんぽの場合、保険料の負担割合は労使折半になります。例えば、協会けんぽ千葉支部の令和4年度の保険料率は9.76%ですが、これを会社と被保険者が折半して4.88%ずつ負担しています。

一方、健康保険組合の場合は制度上、会社の負担割合を上げることができるため、結果として、被保険者の負担を軽減することが可能です。例えば、ある健康保険組合では保険料率を9.4%と設定し、負担割合を「会社負担5.64%、被保険者負担3.76%」とすることにより、被保険者の保険料を安くしています。

■ 付加給付


「医療費の7割負担」、「自己負担限度額を超えた分の払い戻し(高額療養費制度)」、「出産育児一時金の支給」等を保険給付と言いますが、協会けんぽの保険給付は、健康保険法で定められた法定給付のみとなっています。

一方で、健康保険組合には、付加給付という給付が認められています。付加給付とは文字通り、法定給付にプラスして給付するものです。例えば、出産育児一時金の法定給付は420,000円ですが、ある健康保険組合はこれに付加給付として100,000円を給付しています。

■ 保健事業等の充実


健康保険組合は各種健診の費用補助も充実しています。例えば、協会けんぽの場合、定期健康診断に対して費用補助はありませんので、会社が全額を負担しています。一方、多くの健康保険組合では、直営の健診センター等を活用することにより、相場よりも安い価格で定期健康診断を受診できる体制となっているため、協会けんぽの場合よりも会社の負担が軽減されます。

また、大部分の健康保険組合は、被保険者及び被扶養者が利用できる保養所や運動施設等を有していますので、福利厚生の手厚さもポイントと言えます。

健康保険組合の加入基準


保険料率や負担割合等のことを踏まえると、「すぐに健康保険組合に加入すべき」と考えがちですが、無条件に加入できるものではありません。加入基準は各健康保険組合によりますが、次のような事項が加入基準になると言われています。

  • 財務状況
  • 協会けんぽへの加入歴
  • 社会保険料や税金等の納付状況
  • 被保険者数
  • 被保険者の平均年齢
  • 被保険者の標準報酬月額(平均や適用されている最低の標準報酬月額等)
  • 扶養率(被扶養者数÷被保険者数) 等

保険料が安くなり、保険料の負担割合も軽減され、付加給付の恩恵もあることを考慮すれば、健康保険組合には安定的な運営が求められるのは当然と言え、加入企業には相応の規模(資産、人数、給与支給額等)が必要であることは何となく想像できると思います。

今回は「健康保険組合」について書かせていただきました。
ご不明な点等ございましたら何なりとご連絡下さい。

このコラムを書いたのは
社会保険労務士 齊藤労務事務所   齊藤 拓也

千葉県市原市生まれの墨田区在住。
地方銀行(千葉県)、金融商品デリバティブ取引所、ファイナンシャルプランナーの団体、社会保険労務士法人でのキャリアを経て2020年4月、東京都中央区日本橋に「齊藤労務事務所」を開業。就業規則整備、助成金活用の提案をメイン業務として活動中。
現在は第一線から退いているもののパチンコ業界にはユーザとして長く関与。大学生活では文武両道に努めつつ「オークス2」、「セブンショック」、「CRモンスターハウス」、「CR必殺仕事人」に熱中。大学卒業後はスロットへ路線変更して「花伝説」、「猛獣王」、「アントニオ猪木という名のパチスロ機」、「スーパービンゴ」、「北斗の拳」などで万枚の大台を記録。好きな機種は「ハナハナ」。