CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2025-06-25
リスペクトマインド株式会社 代表取締役   武内 臣介
繋がる力 お客様とお店を結ぶランチェスター戦略 『増客に欠かせない!郊外型店舗の地域戦略』



こんにちは!リスペクトマインド(株)の武内臣介です。
ここまで、年3回の大型連休と大型連休の間の期間で考える機種戦略について、その時々での流行や話題性を活用して店内のコーナー作りを見直すことなど書いてきました。
機種戦略に関しては、私よりも優秀な多くの方々が書いたり動画で話してくださるので、今回は『地域戦略』について書こうと思います。

新規ユーザー獲得による各世代の参加率を上げるという点に関しては、意図的に業界全体で連携しながら取組むべき重要課題ですが、店舗では常に『自店商圏』の顧客開拓という視点が重要です。
自店の増客や新規ユーザー開拓を目指すときには、常に『地域戦略』から始まるのは基本中の基本で、「どこの・誰に・何を」提供するのかの『どこの・誰に』の部分になります。

店舗型ビジネスの地域戦略は“立地”や“業種”によって異なりますが、今回はパチンコ業界における『増客に欠かせない!郊外型店舗の地域戦略』としてお伝えしていきます。

『地域戦略』の基本は商圏範囲の把握から


ランチェスター戦略の地域戦略では、江戸時代中期の対馬における“陶山訥庵(すやまとつあん)の猪退治”について地域戦略の事例をお伝えします。
これは、島全体に広がった猪が農作物を食べてしまうので、藩の食糧が不足するのを防ぐために猪退治をどうのように実施したのかという話です。
猪はとても繁殖力が高いので(1回の出産が平均4~5頭)、島全体に広がった猪をむやみに退治しても繁殖は止まりません。
そこで、陶山訥庵が考えた方法が、島全体の特定地域を猪が越えられない柵で囲い、その中の猪を退治し、次に同じように地域を選定して退治する繰り返しで島全体の猪を退治していったというものです。

ランチェスター戦略における地域戦略の基本は≪各個撃破≫で、選定したエリアに対して資源を集中し、そこでシェアを取るという戦術です。
ホールにおいての応用は、各個撃破の前に『第1商圏~第3商圏』という、自店の商圏範囲の把握から始まります。



既存店においては、既に自店会員の方々の住んでいる地域が分かるので、『会員率』と『会員化率(会員数÷丁目単位の人口)』で、第1商圏~第3商圏に分けて把握します。
第1商圏~第3商圏の分け方は、実際に会員率と会員化率の数字を見ながら設定していきます。
例えば、過去半年の間に来店している会員様という条件で、会員化率3%前後までのエリアの会員数を調べたときに全会員数の30%(会員率)を占めるエリアを第1商圏にするといった感じで、第1商圏~第3商圏を任意で設定します。(設定する数値基準はお客様の自宅から店舗までの距離や来店するまでの時間も考慮したりします)

この商圏が、自店が商売をさせていただく対象のお客様という商圏把握になります。

競合店との位置関係で『競争が激しくなるエリア』は?


第1商圏~第3商圏の把握を行うと、競合他店との『①競争が激しくなるエリア』と、『②競合しない独自エリア』や『③自店が優位なエリア』が見えてきます。

①~③の中で顧客の奪い合いになるのが『①競争が激しくなるエリア』になります。
特に、競合店と自店の中間地点にあるエリアが該当します。



店舗型ビジネスでは、競合店と同じ力関係の場合は、〈お客様にとって都合の良い距離や自宅からのアクセスの良さ〉が心理的に優先されます。(他の要因もありますが)
現状、上段のような競合関係にある場合、A店はB店に押されている状態となるので、『①競争が激しくなるエリア』の中でも、下段のように中間地点まではシェアを伸ばしたいところです。
本来、『③自店が優位なエリア』となる、他店よりも自店の距離が近い商圏までは影響範囲を広げたいものです。

シェア状況によって『どこの・誰に・何を』提供するのかから、強化エリアを変える


シェア(顧客数の割合)に関しては、店舗全体、パチンコ、スロット、レート別、機種別などで把握していきますが、増客を目指すときは「他店からお客様を奪うのか?」「独自エリアで顧客数を増やすのか?」「優位なエリアのお客様を獲得するのか?」ということを考えます。
増客によるシェアアップを図る場合、『どこの・誰に・何を』提供して来店してもらうのかによってプロモーションも変える必要があります。

例えば、競合店が絶対的に強い機種のお客様を奪うと考えたときは、『①競争が激しいエリアで(どこの)・その機種を好む顧客層(誰に)・奪いたい機種(何を)』を考えて奪うための戦略と戦術を練ります。
逆に、自店と力関係が均衡している機種やタイプがある場合は、その機種やタイプの商品で戦略や戦術を練ります。
年配の人が好む機種に関しては、競争が激しいエリアよりも独自エリアや優位なエリアを対象に来店促進を図るという感じで、【強化エリアを変える】ことで増客を目指します。

重点エリアの地盤強化と商品浸透戦略


店舗型ビジネスにおいて一番重要とされるエリアは第1商圏になります。
これを重点エリア(足元商圏)と言い、このエリアに関しては【常に地盤強化と商品浸透戦略】を実施して、競合他店に奪われない取組みが必須になります。
そもそも、重点エリア(足元商圏)のお客様から見放されたら商売そのものが成り立たなくなります。

商圏把握を細かくしていく場合、そのエリアに住んでいる人の傾向(年齢・職業・家族構成・・・)なども把握しておきます。
スロットの東京喰種を強化したいと思ったとき、低貸しパチンコを遊技する人が多いエリアにチラシを配布しても効率はよくありません。
第1商圏~第3商圏まで、完璧に把握はできませんが『市場の傾向』は把握できます。
この『傾向』を把握することで、『どこの・誰に・何を』提供するかを考えた後、【どのように伝えるか?】というプロモーションの方法も適切なものを準備していけます。

現在でもチラシやポスティンが有効なエリアもあれば、プッシュ通知やSNSを活用しないと情報が届けられないユーザーもいるので、各種ツールを使い分ける必要があります。
地盤強化と商品浸透戦略は、情報を届けて来店してもらう頻度を高めながら、重点エリアの方々に自店の中でレパートリーを増やしてもらう戦略になります。
予算の使い方になりますが、『第1商圏は毎月』『第2商圏は機種とエリアの相関を見て』『第3商圏は大型連休前』という感じで、どれくらいのタイミングで、どのような時に実施するのかを分けることになります。

市場開拓で新規ファンを増やす取組みも必須


地盤強化と商品浸透戦略に関しては、市場開拓による新規ファン(新規ユーザー獲得)も同時に行えます。
4月は転入の時期になるので、既存ユーザー(引っ越しで自店商圏に転入したお客様)の獲得で、新規ユーザー(18歳以上)の来店意欲を高めるコンテンツの訴求などで来店促進を図ります。
業界全体や、全国的に参加率を高める取組みも必要ですが、自店商圏の市場開拓は自店で行い、新規ファンも獲得していくという視点を持つことで普段の営業施策をより効果があるものに変えていけます。


おわりに


今回は『増客に欠かせない!郊外型店舗の地域戦略』についてざっくりと書きましたが、独自エリアがあるホール様は独自エリアの市場開拓がとても大切です。
商圏把握を細かく実施していくと、野立て看板の位置や、野立て看板に載せる内容も工夫が必要なことに気付けます。
店名だけの野立て看板が多いのですが、そこに「面白そうだから行ってみよう」と思える一言を入れるだけで来店確率が高まります。
また、機種によって獲得したいお客様への販促エリアと販促方法も検討していけます。

店舗型ビジネスにおいては、『地域戦略』が常に出発点になるので、今一度、自店商圏を定期的に確認することをおすすめします。(頻繁には変わりませんが、商業施設が出来たりするとお客様の生活商圏が変わったりします)


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このコラムを書いたのは
リスペクトマインド株式会社 代表取締役   武内 臣介

パチンコ業界に1989年から関わり、日拓では最年少店長で10ヶ月連続店舗表彰や最年少営業職などを歴任し、若手として数々の実績を出し、転職したホール企業では5年間パチンコ50000発、スロット18000枚を1ヶ月も下回らない実績を残す。

2007年の独立後は、ホール企業様の支援を、ホールの専門家として完全応用した『勝つ為のランチェスター戦略』と『差別化価値を作る【コト視点の価値づくり】』で業績向上の結果を出すことと、勝ち抜く社内戦略家育成を継続実施中。
ランチェスター協会の正式なランチェスター戦略インストラクターでもあり、ホール企業支援で業界随一の『勝ち抜くランチェスター戦略』の使い手。
また、パチンコ業界外からの依頼も多く、『コト視点の価値づくり』『火種人材育成』は、魅力的な人材を組織に増やすだけでなく、強力なチームワークの組織にするカリキュラムとして人気が高い。

近年では、業界最大セミナーのJAPaNセミナーに毎年連続登壇し、受講者数上位講師としても活躍している。