CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2024-09-25
リスペクトマインド株式会社 代表取締役   武内 臣介
ランチェスター戦略式ABC分析で『長期貢献するストック系機種を探る』



こんにちは!リスペクトマインド(株)の武内臣介です。
前回コラムを読んだ支援先の若手の方から「ストック系機種についてもう少し詳しく教えてください」という声がありました。
実は・・・支援先の若手向けに、9月12日に私のアメブロで『フロー系機種とストック系機種の両輪でシェアアップを実現する!』というコラムを書いております。

ぜひ、こちらもお読みいただければ幸いです。
※アメブロのコラムはこちら

今回も、年末に向けて重要なストック系機種を育成していく取組みについてです。
アメブロのコラムと重複するところもありますが、メイン機種の取組みと並行しながら強化していく『長期貢献するストック系機種』の探り方を、ランチェスター戦略式ABC分析でお伝えします。

※ストック系機種については前回コラムで説明しています。

フロー系機種とストック系機種について


ランチェスター戦略の中に、『フローシェア・ストックシェア』の考え方があります。
例えば、メーカーさんの機種販売において、1年という期間の中で、メーカー競合他社も含めて総販売合計数が200万台のとき、自社販売合計数が20万台だった場合、フローシェア(1年間の販売シェア)10%となります。

別の見方として、全国の総設置総台数が350万台として、総設置台数に対して自社の設置機種の台数が70万台ある場合、ストックシェア20%となります。

この考え方を応用して、私がお伝えしているストック系機種は『自店の中で固定ファンがいて、長期的に稼働と粗利に貢献してくれる機種』と定義しています。

フロー系機種は、導入したけど1年以内に撤去対象になるか、撤去した機種という捉え方です。
1年という期間はあくまでも目安ですが、これまでの支援先企業では「機械代×1.5倍以上」とか「機械代×2倍以上」「機械代×3倍」など、台粗利による機械代の回収額でストック系機種としての基準を作ったりしています。(ストック系機種の中でも更に貢献レベルを分けていたりします)

よって、機種によっては短期間でストック系機種という位置づけの機種になることもあります。
また、そうなる可能性のある機種を増台したり、類似機種を導入してコーナー強化をしたりしています。


ストック系機種を強化する目的は?


前回コラムでも書きましたが、ストック系機種は、お店の平均稼働や平均粗利を下回っていても長期的に稼働と粗利に貢献してくれる機種となります。

もちろん平均稼働や平均粗利を上回っていれば更に貢献度は高くなり重要度が増していきます。
貢献度の高いストック系機種としては、パチンコの『海・リゼロ・エヴァ』があり、スロットに関しては『ジャグラー』を筆頭に、現在はかなりの機種数がストック機種としての貢献度が高くなっています。

ただし、重要なことは【あくまでも自店においてストック系機種になっている】という点です。

そこで、ストック系機種を強化する目的は、総設置台数の中で安定して稼いでくれる機種の台数を増やすことで、『粗利の質を高める』という点にあります。

ランチェスター戦略はシェアを重視しますが、シェアといっても『シェアの質』というものがあります。
シェアの質が良いお客様というのは、パチンコの1円コーナーのお客様をイメージすると分かりやすいと思います。
シェアの質が良いお客様は、お店の何かしらの価値とつながっていて、“機種とのつながり”は当然として、家が近いという価値のつながりなどもあります。

ただし、家が近くても“機種とのつながり”が無くなると離反する可能性は高まりますが、
いずれにしても、『ストック系機種とシェアの質はとても関係性が強いもの』になります。
自店のストック系機種がレパートリーになっているお客様は、相対的に離反しにくくなります。
同時にシェアの質が良い状態にもなります。

ランチェスター戦略式ABC分析で『長期貢献するストック系機種を探る』


ランチェスター戦略は全5編に分かれており[基本編・地域戦略編・シェアアップ編・営業戦略編・市場参入編]があります。
その中のシェアアップ編にランチェスター戦略式ABC分析というものがあります。

詳細は省きますが、ランチェスター戦略式ABC分析を業界に応用すると、縦軸に商圏内の全機種を設置台数尾多い順に上から並べ、横軸に各機種を競合店と比較した[設置台数・設置シェア・顧客シェア・稼働率]を並べて分析します。

台数の多い順に総台数の○○%までの設置をA、そこから◇◇%までをB、それ以外をCとして分類します。

新台入替の多い1番店や2番店はA分類の機種が多くありますが、そこまで新台入替をしない3番店以降はBとC分類の機種が多くなります。
そして、シェアアップを考える際は、どの分類の機種で自店顧客を増やすかを考えて増台などのアクションを検討します。
もちろん、確率や機種タイプ、4Pや1P、20Sや5Sなども踏まえて検討します。

そこで、『長期貢献するストック系機種を探る』方法は、

A分類の機種から自店にとって必要な機種を探る


これは、自店の商圏内順位や地域戦略としての競合店舗との関係も考慮しますが、供給量が不足している機種の場合はチャンスになります。

ただし、どこの店舗も増台を狙っている機種となる場合もあります。


B分類の機種から自店にとって必要な機種を探る


B分類からは商圏内での設置台数が少ない機種になりますが、他店で稼働していて自店に無い機種や、全店に導入されているが安定稼働と供給量が不足しているものなど、いろんな角度から探ります。

B分類の中でも、導入から半年以上経過しているが、比較的安定して稼働しているような機種はお宝台としてのストック系機種になる可能性もあります。
商圏内台数は少ないが、他店では人気機種になっている可能性がある機種もあったりします。


C分類の機種から自店にとって必要な機種を探る


C分類の機種は商圏内でも数台しかない機種や、1店舗しか導入されていないような機種になります。

当初から導入台数が少なかったのか、撤去されて減っていったのかなどさまざまですが、ここでも導入から半年以上経過して設置している店舗では安定稼働している機種などは少台数になりますがストック系機種の可能性があります。

また、導入当初は対抗機種に隠れて稼働が振るわなかったが、時間の経過と共に価値が上がる機種もあります。
特に、検定切れ間際の機種などで狙える機種があったりします。


ABC分類の中に無い、これから導入される新台の活用方法で探る


これは、前回コラムでも書きましたが、射幸性の高いスロットであれば、同じカテゴリーのコーナーでストック系機種への育成を考えたり、P魔法少女まどか☆マギカ3のような『ライトミドル×ラッキートリガー』機種がヒットしたなら、類似スペックの新台でコーナー作りを行い、【コーナーとしてストック系機種の強化】を探ることも可能です。

ランチェスター戦略式ABC分析は、あくまでも『既に導入されている機種』で分析しますが、これから導入する新台がストック系機種としての育成可能性があるかも踏まえて探っていく事もできます。


最後に


7月頃からフダポスコラムでも書いてきましたが、スマッシュヒットした機種の類似機種はストック系機種として強化し、育成するチャンスがあります。

『育成』と書いていますが、イノベーター理論のマジョリティ層に訴求して機種のファン化を目指すのが強化というものです。
厳しい予算の中で機種選択をするのは本当に大変ですが、その際にストック系機種として育成していけるかという視点も加えると、入替の方法やコーナー作りの仕掛けも可能になります。

特に、年末年始はマジョリティ層の来店が多い時期になります。
そのお客様がストック系機種とつながるかは、お店がどのようなアクションを取るかにかかっています。
『自店の中で固定ファンがいて、長期的に稼働と粗利に貢献してくれる機種』の強化チャンスは常にあるわけではありません。

繰り返しになりますが、現在でも『ライトミドル×ラッキートリガー』は、スペックのバランスから見てもマジョリティ層に適しているので、P魔法少女まどか☆マギカ3のスマッシュヒットを利用するチャンスは続いています。(来年もチャンスが続いているかは分かりません)



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このコラムを書いたのは
リスペクトマインド株式会社 代表取締役   武内 臣介

パチンコ業界に1989年から関わり、日拓では最年少店長で10ヶ月連続店舗表彰や最年少営業職などを歴任し、若手として数々の実績を出し、転職したホール企業では5年間パチンコ50000発、スロット18000枚を1ヶ月も下回らない実績を残す。

2007年の独立後は、ホール企業様の支援を、ホールの専門家として完全応用した『勝つ為のランチェスター戦略』と『差別化価値を作る【コト視点の価値づくり】』で業績向上の結果を出すことと、勝ち抜く社内戦略家育成を継続実施中。
ランチェスター協会の正式なランチェスター戦略インストラクターでもあり、ホール企業支援で業界随一の『勝ち抜くランチェスター戦略』の使い手。
また、パチンコ業界外からの依頼も多く、『コト視点の価値づくり』『火種人材育成』は、魅力的な人材を組織に増やすだけでなく、強力なチームワークの組織にするカリキュラムとして人気が高い。

近年では、業界最大セミナーのJAPaNセミナーに毎年連続登壇し、受講者数上位講師としても活躍している。