CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2024-10-02
有限会社トータル・ノウ・コネクションズ 代表取締役社長   髙橋 正人
パチンコ管理する人は、【千円スタート値】の議論に巻き込まれるな!~その思考は稼働を下げる~



現在でもネット論議や、パチンコ情報(雑誌)系などから、よく論議される【千円スタート】の話がある。
いわゆる、『(昔より)今は回らなくなった』と言う「ユーザーの不満」の一つである。
そしてホールでも、「千円スタート値」を参照する様になって、相当の時が経過したと思われます。
確かに、パチンコ運用シミュレーションとして、その数値は重要であり、ある意味シミュレーションの基本と言っても良いでしょう。
しかし、それを強く意識したり、変にバイアスがかかってしまうと、パチンコの稼働は上がりません!!
今回のコラムは、そのあたりを明確に検証してみたいと思います。

まずは、「パチンコ運用シミュレーション」の、最も基本的な考え方を検証。


パチンコ運用シミュレーションとは、元々【損益分岐点S値】を出す為のモノから始まります。
仮に、「貸玉=4円」にて、初当りに対して「平均TY=3,000個」のスペックであれば・・・

獲得期待の【景品金額】


  • 10割分岐営業(25.0玉交換)であれば、「景品金額=12,000円」
  • 11割分岐営業(27.5玉交換)であれば、「景品金額=10,909円」
  • 12割分岐営業(30.0玉交換)であれば、「景品金額=10,000円」


・・・と言う事になり、それが『1回の初当りまでの投資金額の分岐点になる』と言う事です。

しかし、大当り確率は同じ遊技なので、【特賞確率分母】を「千円単位の数字で割る」事で【分岐点千円スタート値】が簡単に算出できる。
仮に、上記のスペック機で「特賞確率=1/200」とすると、以下の様になります。

【損益分岐の千円スタート値】


  • 10割分岐営業であれば、「200÷12.00」=「16.67回」
  • 11割分岐営業であれば、「200÷10.91」=「18.33回」
  • 12割分岐営業であれば、「200÷10.00」=「20.00回」


要は、「ラウンド振分」「T1Y」「継続率」「高確率」「BA」「SA」等で【平均TY】が算出され、あとは【特賞確率】が分かれば損益分岐点の「千円スタート値」は簡単に計算できると言う事です。

そして、千円スタート値から【有効スタート値】を計算する。


あとは簡単な計算式に則って、【有効スタート値】を算出するだけですね。

<計算式>・・・千円スタート値 ÷ (千円貸玉数 ÷ (100-ベース値))
(計算例)・・・18.33 ÷(250÷(100-15) = 18.33 ÷ 2.94 = 6.24回


この計算式で言うところの(100-ベース値)は「吸込み玉率」であり、(千円貸玉数÷(100-ベース値)部分は「千円分の玉の消費時間」に該当します。
そして<計算式>は、【1分間(=100発)あたりの回転数】=【有効スタート値】を表します。

最近は、この計算「千円S値から有効S値」、またはその逆「有効S値から千円S値」を計算できない店舗管理者が・・・いるとか・・・居ないとか・・・
ぶっちゃけ、この計算が出来ない人は『店舗管理者(店長)の資格は無い』と思っていますし、少なくとも『パチンコの稼働を上げる事は出来ない店長』とも言えるでしょうね(汗)

さて、ここからが本題!

プレイヤーが『回る・回らない』と感じるのは、いったいどんな状況なのか?


その回答としては、通常時に「液晶演出が停止しない事」または、最低限「その時間が少ない事」となります。
更には、「保留ランプが、ちょくちょく【3個以上】点灯する事」が加えられれば最高でしょう。

【液晶演出が停止する】原因については、1回転の停止秒数の影響もありますが。その現象の多くは「スタート入賞スランプ」が要因となります。
そして、そのスランプ幅を『ゼロにする事は出来ない』けれど、『幅を小さくする努力は必要である』と同時に『わざわざ、スランプ幅を大きくする』事なムダであり、そんな努力は全く不要である事は、誰もが分かっているハズなのに・・・と思う次第です。

つまり、【ヘソ入賞】の数が重要であり、結果として【有効スタート値】が重要である事になります。

【千円スタート値】は、所詮「参考値」程度であって、さほど重要では無い理由。


まずは、下記の表を確認して頂きたい。
ここで重要な数値は【ベース値】であり、ベース値が変化すると、各々のスタート値は連動変化する。



(A):【千円スタート値】固定型


最初の解説で分かる通り、基本的に【千円スタート値固定】であれば、「B値」が変化しても『粗利は変化しない』事になる。但し、B値が変化すると、『有効S値は連動変化させなければならない』事になる。

(B):【有効スタート値】固定型


表を見て分かる通り、【有効スタート値】が変化せずに「B値」が変化すると、連動して『千円S値は変化する』事になり、伴い『粗利も変化する』事になる。

同じ千円S値なのに、「液晶画面が停止する台」と「液晶が停止しない台」のどっちが好まれるのか?
『誰もが後者を指示する事は明白でしょう。』

そもそも、千円S値において、『プレイヤーは「1回程度の差」は認識できるのか?』と言う疑問もある。
結果的には、数千円~1万円程度の遊技をした上で、「結果論として判断する」事になる訳で、重要な事は『そこまで遊技してもらえるかどうか?』に掛かっている。
その時の遊技初動時にストレスが発生しない・させない為のキーポイントは、上記に述べた『プレイヤーが、ある程度回ると判断出来るヘソ入賞になる』訳です。

それは即ち、「高い千円S値」の提供では無く、「高い有効S値」の提供が必要と言う事になります。

情報社会環境の中の「千円スタート」論争は、気にするレベルの話では無い。


パチンコ営業において、「粗利の変動は必須事項」である以上、千円スタート値の変化は強いられる。
ただ、パチンコユーザーからは『回る台を打ちたい』と言う要望・欲求は、当然の事であり必然でもある。
そしてそれを「勝ち負けに直結させ、勝ちの1点に拘る一部のユーザー(=パチプロ)」が存在している事もまた事実であり、ホールにとっての現実問題(=対策課題)でもある。

面倒なのは、それらの情報とネット上で拡散させる事で、まるでホールが暴利を貪っているかの如く誹謗する人もいるし、パチンコ店が利益を得ることが悪のように呟く「ビジネス音痴?」みたいな人も居たりする。

いずれにせよ、「千円スタート値」の参照は大事である。
かしかし「千円スタート値絶対論」のバイアスがかかった思考でのパチンコ営業は、全く意味を成さない。
この先、パチンコ店経営には『パチンコ稼働の安定(強いて望むなら復活)が、重要なキーポイントになる。』

極論、現在SNS含めたネット上にいるユーザーの多くは、パチスロに依存している。
だからこそ、ホールは【今現在パチンコを打ってくれている日々のユーザー】(=イベント日等のみに来店するユーザーでは無い)に対して、『何を提供するのか?』『どう提供するのか?』を検証・検討し、ココから稼働を落とさない戦術に磨きをかけて欲しいと願う。

最後にもう一度記しておく。
『パチンコの稼働無きところに、ホールの明るい未来は無い!』

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このコラムを書いたのは
有限会社トータル・ノウ・コネクションズ 代表取締役社長   髙橋 正人

1962年(昭和37年)4月29日、愛知県名古屋市に生まれる。その後、幼少期に長野県に転居し、20歳の時にパチンコ店勤務を始め、その後、「ホールスタッフ~店長職~本部長職」を経験し、「パチンコの運用・活用に特化したコンサルタント」として39歳で独立し現在に至るが、現在「業界歴最長クラスのコンサルタント」になってしまった。

有限会社トータル・ノウ・コネクションズとして、2005年5月、長野県長野市に設立。
英語表記「Total Know Connections」の頭文字をとって、通称「TKC」として活動中。

現在、X(旧Twitter)アカウント【ゼウス髙橋】として、業界向けだけでは無く、ユーザーさん向けに情報発信を継続しつつ、フォロワー数=10000人を目指している(汗