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シー・エフ・ワイ コラム
2024-09-25
社会保険労務士 齊藤労務事務所   齊藤 拓也
育児休業給付金の支給対象期間延長手続きの変更



皆様、こんにちは。
社会保険労務士の齊藤です。
今回は「育児休業給付金の支給対象期間延長手続きの変更」に関するコラムになります。

2025年4月以降、育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変更されることになりました。
ズバリ審査がより厳格になります。延長に必要な書類や要件が変わるため、これから育児休業を取得予定の方や、保育所等の入所申し込みを控えている方等には、少なからず影響があります。

変更の背景


基本的に、育児休業給付金の支給対象期間は子が1歳になるまでですが、子の1歳の誕生日時点で保育所等に入所できていなかった場合は、支給対象期間を延長することができます。この時、現在のルールでは、「市区町村で保育所等の入所申し込みを行っている」、「入所申し込み時に入所希望日を1歳の誕生日以前の日としている」のいずれにも該当していることが要件になっています。例えば、2023年9月10日生まれの子の場合、2024年9月1日等の2024年9月10日以前の日を入所希望日として申し込んでいる必要があります。

しかしながら、現行の手続きでは、前述の2つの要件さえ満たしていれば、申し込みする側の思惑に関係なく支給対象期間を延長することができてしまいます。本来、育児休業給付金の延長は、保育所等の入所を希望していたものの、諸般の事情により入所できなかったことによって育児休業を延長せざるを得ない方を対象としていますが、その可否を決めるにあたっては、本当に育児休業を延長せざるを得ないかまでは確認されていないのです。

そして、制度の趣旨に適さない延長が少なくないと言われている中、各市区町村においては、「入所意思がない者に対する給付延長のための相談対応」や「意に反して入所が内定になった者からの苦情対応」に時間を要し、通常業務に支障をきたすといった弊害が生じていました。

このようなことを背景に、2025年4月以降、育児休業給付金の支給対象期間延長の審査に当たっては、保育所等の入所申し込みが速やかな職場復帰のために行うものであるか否かを確認することになりました。

今後、延長時に必要となる書類と要件


■必要となる書類


2025年4月以降、育児休業給付金の支給対象期間の延長を行う場合は、次の書類の提出が必要になります。

  • 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
  • 市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
  • 市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書等)


今回の変更は、子が1歳に達する日または1歳6か月に達する日が2025年4月1日以後となる方が対象になります。従って、これから利用申し込みを控えている方については、申し込み時の内容が後述の要件(2)の③等に合致している必要がありますので、その点は留意しなければなりません。

「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」は、ハローワーク等に所定の様式が用意されており、保育所等の入所申し込み内容等を申告する形になります。

「市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書等)」は、現在のルールでも提出が必要な書類です。

今後、育児休業給付金の延長は次の(1)~(3)のすべて満たしている必要があります。


(1)あらかじめ市区町村に対して保育利用の申し込みを行っていること


→入所申込年月日が子が1歳に達する日(1歳6か月に達する日後の延長の場合は「1歳6か月に達する日」に読み替え。以降同じ。)までの日付になっていることが必要。

→各市区町村が定める期限内に申し込みを行わなかった場合は、延長は認められない。

(2)速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めること


→次の①~③すべてを満たしていることが必要。
  1. ① 原則として子が1歳に達する日の翌日以前の日を入所希望日として入所申し込みしていること。
  2. ② 申し込んだ保育所等が、合理的な理由(※1)なく自宅から通所に片道30分以上要する施設のみとなっていないこと。
  3. ③ 市区町村に対する保育利用の申し込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示(※2)をしていないこと。

※1「保育所等が通勤経路にある」、「自宅から30分未満に保育所等がない」等。
※2入所申込書において、「保育所等への入所を希望していない」、「速やかに職場復帰する意思がない」等の記載があり、保育所等への入所の意思や速やかな職場復帰の意思がないことが明白な場合は、延長の要件を満たさない。


(3)子が1歳に達する日の翌日時点で保育所等の利用ができる見込みがないこと


→発行年月日が子が1歳に達する日の翌日の2か月前(4月入所申し込みの場合は3か月前)の日以後の日付となっている市区町村の入所保留通知書等の提出が必要。

→やむを得ない理由なく内定辞退を行っている場合は延長の要件を満たさない。


今後はこれまで以上に、申込期限、申込日、入所希望日、入所保留通知書等の発行年月日等の時間軸を強く意識する必要があることと、育児休業の延長理由が育児休業給付金の延長の趣旨にマッチしているかが問われることとなります。


今回は、「育児休業給付金の支給対象期間延長手続きの変更」について書かせていただきました。
これからも、本コラムを通じて皆様へ有益な情報をお届けできればと思います。
このコラムを書いたのは
社会保険労務士 齊藤労務事務所   齊藤 拓也

千葉県市原市生まれの墨田区在住。
地方銀行(千葉県)、金融商品デリバティブ取引所、ファイナンシャルプランナーの団体、社会保険労務士法人でのキャリアを経て2020年4月、東京都中央区日本橋に「齊藤労務事務所」を開業。就業規則整備、助成金活用の提案をメイン業務として活動中。
現在は第一線から退いているもののパチンコ業界にはユーザとして長く関与。大学生活では文武両道に努めつつ「オークス2」、「セブンショック」、「CRモンスターハウス」、「CR必殺仕事人」に熱中。大学卒業後はスロットへ路線変更して「花伝説」、「猛獣王」、「アントニオ猪木という名のパチスロ機」、「スーパービンゴ」、「北斗の拳」などで万枚の大台を記録。好きな機種は「ハナハナ」。