CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2021-03-24
社会保険労務士 齊藤労務事務所   齊藤 拓也
労務管理について


皆様、こんにちは。
社会保険労務士の齊藤です。

3月10日付の本コラムにて、小川氏がコンテンツの可能性について書かれていましたが、元パチンコ、スロットユーザの私としては、大変納得しながら読ませていただきまして、今回はそれに絡めて「労務管理」について書かせていただければと思います。

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パチンコ、スロットのタイアップ


私の印象では、2000年頃まではアニメ、ゲーム、映画、芸能人等とのタイアップ機はほとんどなく、例えばパチンコですと「大工の源さん」や「モンスターハウス」などの人気機種も含めて、オリジナルキャラクターが通常であったと記憶しています。

そのような中、パチンコでは「仕事人」や「ピンクレディー」、「冬のソナタ」など数多くのタイアップ機が人気を博すようになり、スロットでは5号機への移行前に稼働した「北斗の拳」が空前の大ヒット。サミーさんが配当金を増配するほど社会への影響があったと記憶しております。

以降その流れはさらに顕著となり、「エヴァンゲリオン」や「花の慶次」などに関しては、パチンコ、スロットとのタイアップによりコンテンツ自体の面白さが再認識され、その影響は他のエンタメ市場にも波及するなど、結果的にパチンコ、スロットとのタイアップによってコンテンツそのものの価値を押し上げることに繋がったと、個人的には捉えております。

振り返ってみますと5号機への移行初期に「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」という4号機に慣れていた私にとっては非常に衝撃的な機種が導入されましたが、今思えばあの機種もアニメとのタイアップでしたので、激動の5号機時代に向けた先駆けとして新たなユーザの取込みが想定されていたのだろうと、小川氏のコラムを読んで納得した次第です。

社会保険労務士業界における顧客の取込み


我々社会保険労務士の業界でも新たな顧客の取込みは非常に重要です。日本には労働基準法という法律があり、その法律がベースとなって労働、雇用のルールが決められています。

しかしながら、古くからの法律であるがゆえ硬直的な部分が多少なりともあり、現実問題として、労働基準法のルールを100%履行できていない法人、個人経営の方々は少なくありません。

社会保険労務士としては、その使命及び責務のもと、先ずはいかにして労働基準法という枠の中にそのような方々を取り込むことができるかが求められますが、給与計算業務や手続き業務等の労務管理については、それ自体直接利益を生み出すものではありませんので、言わずもがな本業を生業とする経営者にとってみれば、多大な資本を投下してまで労務管理体制を整備することに積極的ではありません。従って、そのような考え方を取り除くためのコンテンツやインセンティブが必要となってきます。

労務管理でのコンテンツ


コンテンツと言うと語弊があるかもしれませんが、「労務管理をより広く浸透させる」、「多くの方々に労務管理に興味を持っていただく」という意味においては、過去のコラムで書かせていただきました「助成金」はコンテンツのような部類に入ると言えます。

厚生労働省管轄の「助成金」は数多くありますが、国としても「ルール(法律)」と「実態(現場の考え方)」の乖離については問題意識を有しており、その乖離を解消するために「助成金」が制度化されていると考えられます。つまり、「助成金」というコンテンツ、インセンティブを掲げることにより、多くの方々に労務管理に関心を持ってもらい、労働基準法という枠の中に参入してもらうといった具合です。

また、コンテンツというよりかは手段に該当しますが、「人事労務、給与システム」の高性能化も労務管理のハードルを下げる要因になると考えられます。例えば、給与計算などをエクセルで管理する場合は、どうしても業務が断片的、属人的になりがちですが、「人事労務、給与システム」の場合は、法的なルールが担保された状態で一元的な管理が可能となります。

労働基準法では法定三帳簿と呼ばれる「労働者名簿」、「賃金台帳」、「出勤簿」の作成、保存が求められていますが、昨今の「人事労務、給与システム」では、日常的な利用をもってこの法定三帳簿が自動的に作成、保存される仕様となっております(助成金の申請においては原則「賃金台帳」、「出勤簿」は必須の添付書類)。なお、「人事労務、給与システム」については、法的な側面をカバーするだけでなく、業務の効率化、横断化、労働時間の削減にも繋がりますので、本当に有用なツールと言えます。

まとめ


今回、ご状況、ご事情等は全く異なりますものの、大変僭越ながらパチンコ、スロット業界と絡めて労務管理について書かせていただきましたが、「助成金」や「人事労務、給与システム」を有効活用することにより、労務管理と向き合うことが可能になります。今回のコラムを通じて少しでもより多くの方々に労務管理について興味を持っていただけますと幸いです。

このコラムを書いたのは
社会保険労務士 齊藤労務事務所   齊藤 拓也

千葉県市原市生まれの墨田区在住。
地方銀行(千葉県)、金融商品デリバティブ取引所、ファイナンシャルプランナーの団体、社会保険労務士法人でのキャリアを経て2020年4月、東京都中央区日本橋に「齊藤労務事務所」を開業。就業規則整備、助成金活用の提案をメイン業務として活動中。
現在は第一線から退いているもののパチンコ業界にはユーザとして長く関与。大学生活では文武両道に努めつつ「オークス2」、「セブンショック」、「CRモンスターハウス」、「CR必殺仕事人」に熱中。大学卒業後はスロットへ路線変更して「花伝説」、「猛獣王」、「アントニオ猪木という名のパチスロ機」、「スーパービンゴ」、「北斗の拳」などで万枚の大台を記録。好きな機種は「ハナハナ」。