CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2021-03-17
株式会社船井総合研究所
金融・M&A支援部
シニアコンサルタント   平野 孝
事業を飛躍させる一手!「事業再構築補助金」の公募がついに開始


最近、経営者や経営幹部の方とお会いした時に話題に出るのが「事業再構築助成金」です。
今回は「事業再構築助成金」の制度について触れてみたいと思います。

中小企業向けの予算1兆1485億円、5.5万社交付予定の「事業再構築補助金」の公募が始まりました。
新分野展開や業態・事業・業種転換、事業再編、規模拡大を目指す企業向けの補助金で、多くの企業が対象になります。


〇対象企業と補助金額、補助率


  • 中小企業(特別枠) 補助額 100~6000万円 補助率2/3大半が対象となる。
  • 中小企業(卒業枠) 補助額 6000~1億円 補助率 2/3 400社限定
  • 中堅企業(通常枠) 補助額 100~8000万円 補助率1/2 資本金10億円未満
  • 中堅企業(グローバルV字回復枠) 補助額 8000~1億円 補助率 1/2 100社限定。

今回の補助金の意図は、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。

そのような目的から、金額が小さく、通常枠が100万円から対象になっています。大きな投資をしなくても適用できることが大きな特徴です。最大1億円と非常に大きな補助も受けられます。公募は3月より開始していますが、今年度に複数回実施する予定です。


〇補助を受けるための3つの条件


① 売上減少

申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること(任意の3カ月になるため、続けた3カ月である必要はない。要件を満たす月を選択することができる)。

② 事業再構築に取り組む

事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う(事業再構築指針はまだ発表されていません)。

③ 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

事業再構築に係る事業計画を、認定経営革新等支援機関と策定する(自社のみで申請はできず、認定経営革新等支援機関と一緒に策定して申請する必要があります)。

補助金額が3000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する(金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構わない)。
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、又は従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する(付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものとなります)。


〇特別枠について


通常枠の申請要件を満たし、緊急事態宣言に伴う時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等の影響を受けたことにより、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者が対象になります。こちらは補助率が通常よりも大きくなります。仮に特別枠を出して不採択となった場合も、通常枠で再審査されます。


〇補助対象が広いことも魅力的なポイント


下記のような9つの項目が補助金の対象となります。

①建物費(建物・改修に要する経費)、②建物改修費、③設備費、④システム購入費、⑤外注費(製品開発に要する加工、設計等)、⑥研修費(教育訓練費等)、⑦技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、⑧広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等、⑨リース費、クラウドサービス費、専門家経費 ※⑤~⑨については上限が設けられる予定。

その一方で補助の対象外になるものもあります。

  • 補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費
  • 不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費
  • 販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費


〇申請方法について


申請の際には合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です。事業計画策定は、認定経営革新等支援機関と相談することをオススメします。経験が豊富な方に依頼すると採択されやすくなります。

公募要領に採点基準があり、そこを理解して事業計画を作ることが重要になるからです(認定経営革新等支援機関とは、経済産業大臣が認定した機関であり、全国で3万以上の金融機関、支援団体、税理士、中小企業診断士等が認定を受けています。中小企業庁のホームページで、認定経営革新等支援機関を検索することができます)。


〇事業計画に含めるポイント


  • SWOT分析(企業の事業、強み・弱み、機会・脅威)と事業環境、事業再構築の必要性。
  • 事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)。
  • 事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法。
  • 実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)。


〇補助金を受け取るまでのプロセス、フォローアップ


補助金は、事業者による支出を確認した「あと」に支払われます。事業計画は、補助事業期間終了後もフォローアップします。補助事業終了後5年間、経営状況等について、年次報告が必要です(5年間は資料を保存する義務もあります(引越をした場合でも資料を確実に保持すること)。

また、事前着手承認制度もあるので、採択前の設備購入契約などが補助対象と成り得ます。
補助金は原則として交付決定後ですが、公募開始後、事前着手申請を提出し、承認された場合は、2月15日以降の設備の購入契約等が補助対象となります。
ただし、設備の購入等では入札・相見積が必要です。
また、補助金申請後不採択となるリスクがありますのでご注意ください。


〇今から準備できること


申請は全て電子申請のみとなりますので、その際には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。
これはこちらのページ https://gbiz-id.go.jp/top/から申請できます。
入力後に郵送する必要があるため2~3週間ほどかかります。
混雑すると遅れてしまうので、すぐに対応したすることをオススメします。

最後に、船井総合研究所では、認定支援機関と協力の上、「事業再構築助成金」に関する支援をしております。ぜひこの機会に自社の活用をご検討ください。

船井総研 金融・M&A支援部へのご相談はこちら

<お問合せ先> thirano@funaisoken.co.jp
<HP>   https://funai-ma.com/
このコラムを書いたのは
株式会社船井総合研究所
金融・M&A支援部
シニアコンサルタント   平野 孝

2004年 船井総合研究所中途入社。パチンコ、建設、不動産などの事業再生を中心に再生支援実績は50件を超す。M&Aでは法的手続など中規模以上のアドバイザリー業務から小規模の事業整理まで幅広く対応。経営戦略、ファイナンス、M&Aなどの成長支援に取り組む。一般社団法人日本ターンアラウンドマネジメント協会 準会員 事業再生士補。パチンコ歴30年。
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