CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2024-01-10
株式会社THINX代表取締役   𠮷元 一夢
時代のパルスをつかむ~逆境を乗り越えるためのフィロソフィー

統計士(データアナリスト)が魅せるデータでデザインする未来の姿「時代のパルスをつかむ~逆境を乗り越えるためのフィロソフィー」



本稿執筆は1月5日。新年あけましておめでとうございます。これが、2024年最初の執筆作業になるため昨年の振返りや新年の展望について簡単にまとめることとする。


昨年、苦戦続きだったパチンコ市場で次第にスマパチが勢いをつけてきた。その立役者となったのが「SAO」で、「Reゼロシーズン2」の登場が決定打となった。そうした良い空気感の中、初の試みとして2型式の販売が行われた「エヴァ16」だが思いのほか苦戦している。分散を生むような2型式の販売方法に問題があったのか、機種のポテンシャルにそもそもの問題があったのか、苦戦の要因は様々考えられるが、やはり初速のインパクトを分散してしまうような販売方法はあまり好ましくないだろう。

しかしながら、年末商戦で「エヴァ16」が創出したプレイヤー数は、4円パチンコを遊技したプレイヤーの内、約12%の割合を占めた。これは、2021年から起算して過去最大のプレイヤーの創出量となる。つまり、マーケットインパクトは非常に高かったと考えられるので、良くも悪くも市場は大きく動いたと言えるだろう。参考までに「Reゼロシーズン2」のプレイヤーの創出量は導入週で約5%、12月最終週では約4%となった。「Reゼロシーズン2」の稼働はすこぶる良いが、マーケットインパクトはそこまで高くない点は抑えておくべきだろう。

何はともあれ、これを執筆している時点では旧作を含めた「エヴァ」の延べ遊技者割合は約19%で、旧作を含めた「Reゼロ」の延べ遊技者割合は約9%となっている。したがって、パチンコ市場の当面は、まだまだ「エヴァ」「Reゼロ」がマーケットをけん引していくこととなりそうだ。

2024年は、「スマパチ」がどれだけ普及していくかと「ラッキートリガー」という新たな仕様の機種が市場に受け入れられるかがポイントになるだろう。

対して、昨年好調だったパチスロ市場は「北斗」の登場を起点にさらに勢いづいたのが印象的。ただし、その後登場した「スマスロ」もいくつか高実績を見せているものの、マーケットにインパクトを与えるほどの影響は示していない。たとえば、現在高稼働を示している「バジリスク」もそのひとつである。12月最終週のプレイヤーの創出量は約3%となり、同週の「北斗」は6%を超えている。現在勢いのある「バジリスク」「モンキーターン」「マジハロ」を足しても「北斗」の6%には及ばないのが現状。

2024年は個別機種単体でマーケットにインパクトを及ぼすほどの影響力を持った機種の登場に期待したいところである。


さて、こうしたことをデータから読み解きながら思うことは、営業というのは個別の機種ひとつだけで成立させられるものではなく、全体の戦略構想にJOIN(結合)出来て初めて評価できるものである。ようするに、業績は上げれたのかどうかという話。もし仮に、「Reゼロシーズン2」を競合店より多く導入出来たのにも関わらず、業績が思いのほか伸びていないのであれば、そのお店にとっては評価に値しないということ。間違っても、「Reゼロシーズン2」をたくさん購入出来たというようなことを評価軸にしてはいけないという話。

つまり、「エヴァ」がどうとか「Reゼロ」がどうとかよりも、業績が上がったか下がったのかに従って“正しく評価”しなければならない。


2024年もさらに店舗数は減少し、参加人口も減少するだろう。当然のことながら、こうした問題に歯止めを利かせることは、業界が抱える問題として大きな課題と言えるが、これらに対して対策を列挙したとしても「せいぜいマイナスを小さくする」程度のことにしかならないだろう。ただし、こうした状況をどう捉えるかが私は重要であると考えている。

たとえば、「将来の参加人口700万人」を前提とした時、それを絶好の機会に変えるポジティブなビジョンを描けるのか、あるいはそうではないのかで、企業単位の前に進む推進力は大きく違ってくると考えられないだろうか。

つまり、残余市場の表面的なものばかりに目を向けるのではなく、極めてユーザーとの粘着性が高い、我々業界のポテンシャルを信じて進んでゆけるかが忘れてはならないフィロソフィーだと考えている。


2024年も考えるべきことはたくさんありますが、CFYコラムを通じて少しでも有益な情報を皆さまへお届けしたいと思います。

本年もどうぞ宜しくお願い致します。

■THINX-LAB.


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このコラムを書いたのは
株式会社THINX代表取締役   𠮷元 一夢

𠮷元 一夢 よしもと・ひとむ
株式会社THINX 代表取締役

データアナリスト・統計士
1986年生まれ。文部科学省認定統計士課程修了。
現在は、IT企業のシステム開発やソフトウェア開発にアドバイザリーとして従事しながら、パチンコホール・戦略系コンサルタントとして活動。
そのかたわら、2021年、会員制情報配信サイト「THINX-LAB.」をリリースし、知見やノウハウの提供を開始。2022年、業界紙「TRYSEM CROSS」を出版し、現在も刊行中である。

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