CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2025-11-05
株式会社船井総合研究所
アミューズメント支援部
シニア経営コンサルタント
パチンコグループマネージャー   渡邊 龍信
2025年、機械選定の岐路に立つ 年末商戦と来春の展望




いつもCFYコラムを御愛読いただきありがとうございます。船井総研 渡邊龍信です。

早いもので、だいぶ肌寒くなってきており、気づいたら11月になりました。来年の1月までの機械導入が固まり、12月の新台導入も待つだけとなりました。しかし、その一方で、来年の2月から4月にかけてのラインナップに目を向けると、市場を牽引するような目玉機種が見当たらないのが現状です。パチンコ市場は依然として厳しい状況が続き、さらなる出玉規制の噂も聞こえてくるなど、先行きは決して楽観できません。今回は、このような不透明な状況下で、2025年をどのように戦っていくべきか、その戦略について考察します。

まずは全国動向からです。

10月売上実績から見えるさらに厳しい現実

2025年10月売上は先月対比で

4円94%
1円97%
20円97%
全体96%

でした。

また去年対比では

4円113%
1円119%
20円119%
全体118%


という結果でした。

ただでさえ悪かった9月を横ばい〜下回るという結果となりました。めぼしい機械もなかったでので、これは仕方のない結果でした。
そもそもこうなることは8月時点からわかってたはずなので、その準備が足りてるか足りてないかが一番キモだったように感じます。11月はさらに落ち込むため、三連休の過ごし方とそれ以外の攻め方が重要になってきますね。

【現状分析】スロット市場の二極化とパチンコの苦境


現在のスロット市場は、一部の人気機種への依存度が高まっている状況です。特に、今一番の人気を誇る「L東京喰種」をどれだけ確保できるかが、年末商戦を勝ち抜く上での重要な鍵となるでしょう。加えて、1月に登場するあるメイン機種を、いかに初期ロットで導入できるか。この2点が、当面の業績を大きく左右するポイントとなります。それ以外の機種に予算を割くのは、得策とは言えないかもしれません。2-4月の機械状況を考えても、これを超える機械は存在しないため、重点的に強化が必要だと思います。もちろん増産はあるのですが、すぐすぐに増産が叶わない可能性があるのでそこの注意が必要です。

一方、パチンコに関しては、まさに「絶望的」と言っても過言ではない状況が続いています。10月、11月と市場は冷え込み、ラッキートリガー3.0+も期待されたほどの起爆剤とはなりませんでした。12月の新台にも大きな期待はできず、来年も厳しい戦いが予想されます。さらに、現在3000発となっている出玉に何らかの規制が入るのではないかという話も出てきており、パチンコ市場はさらに縮小する可能性も否定できません。
このような状況下で、私自身は1月に導入されるTSが低めの機械に一つの活路を見出しており、評価軸の一つとして厚めに購入しています。それだけでなく、入れ替え不要コーナーとしてのハネモノコーナー育成にも切り出していますので、今後は新台に依存せずスペックの高さだけではない、かつスロットとの相関性の見込める新たな価値基準を模索していく必要があるでしょう。

【年末商戦の仕掛け】スロット増台と再来店を効かせた販促


年末商戦に向けて、私の支援先ではスロットの増台や増床といった動きが非常に活発化しています。本来であれば、1月の人気新台導入と同時に仕掛けたいところですが、発売時期の問題と工事や検査の問題があり現実的には年内に動かざるを得ない状況です。

ここには少し「小技」的な要素も絡んできますが、年内の増台・増床と、来年1月の新台導入に向けた販促活動を両輪で進めていく必要があります。目先の集客だけでなく、年明けのスタートダッシュを見据えた、戦略的な仕掛けが求められています。ヒントだけ与えると、私は兼ねてから「業績アップの基本は集客・客滞・再来店」と言ってます。常識なんですが、これを分けて考えられてない人はあまりにも多いのです。何か仕掛けをする際にはこれを全部別軸で策を組んでいく必要があるのですが、これで偏ってることがあるんですよね。で、この小技ってのは、1月のメイン機種が出る際に、再来店に繋げられるような仕掛けを、年内スロット増台時に打つべきという考え方からきてます。イメージはつくかと思いますので、ぜひお試しください。


【業界の懸念】過熱する取材イベントと広告規制の行方


最近、業界全体で取材イベントが非常に過熱しているように感じます。これについては様々な考え方があるかと思いますが、私個人としてはどうでもいいことなのですが、業界にとって逆風になりかねない危険な兆候だと捉えています。去年に広告宣伝に関する規制が若干緩んだ流れなのかもしれませんが、この加熱感はあまりにも度を越しているようにも思えます。どちらにせよ、取材のあり方が厳しくなったのに加熱感が逆に上がるという不思議な現象です。実際、先月から取材全体に関しての動きがあるので、これがより拍車をかけていくだろうなと感じます。業界全体で自主的な規制や冷静な判断が求められる時期に来ているのではないでしょうか。

【まとめ】2026年で良いスタートための戦略


2026年のパチンコ業界も、これまで以上に厳しい舵取りを迫られる一年となるでしょう。短期的な視点では2-4月の状況を踏まえると、「L東京喰種」の増台を年内にしたいですね。そして、1月のメイン新台確保に注力し、良いスタートを迎えたいです。
それと同時に、中長期的な視点を持つことも忘れてはなりません。縮小が懸念されるパチンコ市場にどう向き合うのかです。スロットは過熱する取材イベントや広告規制の動きにどう対応していくのかですが、パチンコは重要な局面です。TS低めの機械のように、新たな評価軸となる機械を発掘し、育てていけるのか。これらの課題に対し、明確なビジョンと戦略を持って取り組むことが、この厳しい時代を乗り越えるための唯一の道であると、私は考えています。


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このコラムを書いたのは
株式会社船井総合研究所
アミューズメント支援部
シニア経営コンサルタント
パチンコグループマネージャー   渡邊 龍信

国立大学 理学部数学科卒業。国立大学大学院 応用数学科卒業。アミューズメント支援部新卒入社史上最年少でチームリーダーに着任から、最年少でグループマネージャーに着任。400台以上の大型スロット専門店立ち上げ実績は10件以上携わっており、スロット増台成功実績は40件以上、多数の20円スロット業績アップ実績をもっている。直近2年間の高射幸機に頼らない増収増益方法を指導しており、20円スロットの業績アップの実績は、元スロプロで培った超ユーザー目線と、大学での数学の知識を駆使した数理マーケティングで「 高精度な 」時流予測とスロット機種分析によって実現している。