2025-03-19
有限会社トータル・ノウ・コネクションズ 代表取締役社長 髙橋 正人

広告・宣伝規制における、【思考の順番】の重要性
業界情報
先日「3月13日」、パチンコホール関連4団体の連名にて、【広告宣伝で是正勧告を行った事例(第4集)】が発出されました。
内容としては、是正勧告事例が「19事例」、写真付きで掲載されています。
これは、過去に発出された「広告宣伝ガイドライン」に抵触したものとしてまとめて記載されていますので、ホール様は下より業界関係者様も目を通され、今後の店舗広告宣伝における認識として、再確認されるべきかと思われます。
また「同日13日」に、「静岡県遊技場共同組合(理事長:冨田直樹)」から【遵法営業の徹底について】と言う文書が発出されました。
こちらの内様は以下の通り。
県警生活保安課より、
先般、県内パチンコ営業所において著名人を招いて、来店者との握手及び写真撮影を行った事案が判明している。
静岡県の風営法施行条例の遵守事項では、第8条第1項第2号において「営業所でショーその他興業の類をし、又はさせないこと。」と規定されている。
各組合員ホールに対して、今後同種事案の発生がないよう遵法営業の徹底を指導していただきたい。
旨の依頼がありましたので通知致します。
特に、静岡県の是正発出された日が同日であった事もあり、SNS上でも大きな話題・波紋を呼ぶ事になり、YouTuberや業界ライター等の方々からの発言も見受けられる事となりました。
先般、県内パチンコ営業所において著名人を招いて、来店者との握手及び写真撮影を行った事案が判明している。
静岡県の風営法施行条例の遵守事項では、第8条第1項第2号において「営業所でショーその他興業の類をし、又はさせないこと。」と規定されている。
各組合員ホールに対して、今後同種事案の発生がないよう遵法営業の徹底を指導していただきたい。
旨の依頼がありましたので通知致します。
特に、静岡県の是正発出された日が同日であった事もあり、SNS上でも大きな話題・波紋を呼ぶ事になり、YouTuberや業界ライター等の方々からの発言も見受けられる事となりました。
そこで、「再確認」「再認識」の意味も込めて、今回は【4つの項目観点】からコラムさせて頂きますので、一読頂ければ幸いです。
【条例違反】と言う【風営法違反】がある。
今回の静岡県の例を引き合いに出すのは「ちと心苦しいところはある」が、一つの機会・問題提起として再認識して頂きたい事がある。
それが『風営法よりも「都道府県条例が先」と言うケースがある』と言う事。
次の項目でも詳しく触れますが、風営法違反に対してはその内容に応じて「A~H・8段階」の【量定基準】と言うモノがあり、違反に対しての行政処分の大きさ・度合も基準がある程度決まっています。
風営法違反には様々な事例があり、行政処分のレベルも様々。
ご存じの通り、その中から最重要の行政処分「量定A」は「4つの分泳法違反項目」が該当し、処分は最高の「取消し処分」と言うモノがありますが、ここで再認識して頂きたい事が、【量定H】と言う内容になります。
その【量定H】に該当する違反事例はたった一つで【条例の遵守事項違反】というモノになります。
先の静岡県の例ですと、『県条例に抵触している』可能性がある事案として「県警生活保安課は捉えている」と思われますが、これは即ち【量定H】=【条例の遵守事項違反】と言う風営法違反に該当し、その行政処分量定は、「5日以上80日以下」の【営業停止命令】と言う風営法違反処分になる・・・と言う事です。
※但し、「県条例で基準期間と言うモノが定められている場合は、その期間に準ずる」
※ここで言うところの「条例」とは、主に「風営法条例」になますが、その他の条例にも含まれる可能性があります。
【量定基準】の再確認。

※上記表内の「赤文字」は、筆者が『特段知っておいて欲しい』と思う違反事案です。
※上記表の最下部「都道府県公安員会」は「・・・公安委員会」の誤植です。
さて、【量定基準】の「8段階」が、どの違反に該当するのか?上記表にてご確認下さい。
今回問題提起させて頂いた「広告・宣伝」に関する部分をピックアップすると、先ずは「量定D」の【広告・宣伝規制違反】処分となりますが、一度、その内容での【指示処分(と言う行政処分)】が出されていて、更に遵守されていない場合は「量定B」の【広告・宣伝規制違反に対する指示処分違反】となり、「40日以上6ヶ月以下の営業停止命令」となります。
つまり・・・『1度注意したよね!(優しく指示処分)』⇒『でも是正してないよね!(淡々と量定D)』⇒更に『じゃぁ分かった!!(激怒の量定B)』と言う感じですかねぇ(怖)
ちなみに「「指示処分違反」に関しては、広告・宣伝規制違反のみが「量定B」であり、その他の場合は「量定C」と異なっている点に注目するならば・・・『それほど大きな問題である!』と理解すべきだと、私は考えます。
【風営法違反者はホールだけ!?】と言う現実。
昨今、ライターさんや演者さんの「来店イベント」等が全国にて緩和されており、更に「2023年10月施行」の【改正景品表示法】による、いわゆる「ステマ規制」が重なり、ライターさんや演者さんのSNS投稿等にも「PR」(パブリック・リレーション=これは広告宣伝ですの意味を持つ)を付けるようになりました。
その影響からか、今でもインフルエンサー側の人に対して『広告宣伝の法律違反だ』と捉えられているケースが散見さられますが『それは完全な間違い』であり、基本的には、発信側は「風営法」や「景品表示法」で処分対象となる事は無く、仮に発信者側の宣伝活動において「風営法の広告・宣伝規制違反」があったとしても、その処分対象者は、『全てホール側(営業所又は法人)が受ける事となります。
この点においては、再三広報されているとは思いますが、敢えて再度触れておく事とします。
~<予備加筆>~(インフルエンサー側の方へ)
ちなみに、「インフルエンサー側の人・会社は、行政処分」はありません(風俗営業登録者では無い)。
ですが、ホール様が風営法違反で立件(有罪)された場合は、その違反事件の「教唆」または「共同正犯」の容疑者として疑われる可能性が高い事は、心しておいてもよろしいかと思います。
法律問題を問う時は、【思考の順番】=【対応の手順】が重要。
まず最初に「そもそも論」の話とするならば、パチンコ店が各公安員会から営業許可をもらうにあたり、当然ながら「風俗営業適正化法」を理解した上での「許可申請」をしていると考えられます。
その上で、一つの風営法違反があった場合、『知らなかった』では通用しない事は当たり前で、それなりのペナルティを受ける事は当然の事と考えられます。
それは「条例でも同じ」である事は、前述の【量定H】の件でご理解頂けると思います。
『今までOKだったのに突然・・・』!?
時折、こういう解釈や意見を見聞きする時がありますが、それは単純に「法文が改正された場合は正しい」判断となりますが、法令・法文自体は変わっていないのにこのような解釈は愚か者の解釈であり、元々ダメだったのに勝手にやっていて既得権を得ている』と言う、身勝手な解釈や勘違いに過ぎません。
今後も行政から行き過ぎた「広告・宣伝の是正」が発せられた場合、それは違法行為をしていた自分たちが悪いのであって、即是正する対応が必要となる訳です。
『風営法は解釈が変わる時がある!?』
風営法には【2つ】あり、先に「法」と「条例」があると述べました。
その中には、例えば「いわゆる」と言う表記があったり、「等」または「類する」と書かれた表記もあります。
更には、その解釈(許容範囲?)は、地域ごと(県条例・市町村条例等)でも変わります。特に風俗に関する事は、地域によって習慣・価値感が異なっていたり、時代の変化に伴う価値観の変化もある事から、「法文は同じまま」であっても『その解釈基準は変わる』事は多々あり得ます。
そのあたりは、常に情報収集と情報共有でホール側が進化して行く他にありませんし、更には広告・宣伝を協力者(ライター・演者さん等)への情報共有や依頼や指導、または是正勧告をする事も必要な時代であり、『全ての違反処分はホールが負う』と言う事実を再度認識する事も重要です。
その思考手順として、最後に【施行の順番】と言うモノを記して、コラムを終わりたいと思います。
【行政からの文書発出】(※組合通知・ガイドライン等含む)があった際・・・
- (1)最初に、「法令・条例」の内容を確認する。(※法令の再確認)
- (2)発出文書等を社内・法人内で「情報共有」する。(※知らなかったは通用しない)
- (3)次に、「自店舗で該当の可能性のある行為はあるか?」を確認する。
- (4)会社本部及び代表者(社長)に報告する。(※最後は代表者の違反処分もある)
- (5)とにかく、是正する。(※会社を守る為)
<追記>
「指示処分」は行政処分の一つである事を認識して下さい。
そして、「指示処分違反」(いわゆる「再犯」)は、確実に行政処分が重くなる。
いずれにしても、行政(法)の問題は「他責」にしてはダメ!
そして「自己都合解釈」はもっとダメ!!
やってしまった事は、素直な「反省」と、即「是正」
今後のホール運営において、広告・宣伝の更なる進化とクオリティアップの為に。
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有限会社トータル・ノウ・コネクションズ 代表取締役社長 髙橋 正人
1962年(昭和37年)4月29日、愛知県名古屋市に生まれる。その後、幼少期に長野県に転居し、20歳の時にパチンコ店勤務を始め、その後、「ホールスタッフ~店長職~本部長職」を経験し、「パチンコの運用・活用に特化したコンサルタント」として39歳で独立し現在に至るが、現在「業界歴最長クラスのコンサルタント」になってしまった。
有限会社トータル・ノウ・コネクションズとして、2005年5月、長野県長野市に設立。
英語表記「Total Know Connections」の頭文字をとって、通称「TKC」として活動中。
現在、X(旧Twitter)アカウント【ゼウス髙橋】として、業界向けだけでは無く、ユーザーさん向けに情報発信を継続しつつ、フォロワー数=10,000人を目指している(汗
有限会社トータル・ノウ・コネクションズとして、2005年5月、長野県長野市に設立。
英語表記「Total Know Connections」の頭文字をとって、通称「TKC」として活動中。
現在、X(旧Twitter)アカウント【ゼウス髙橋】として、業界向けだけでは無く、ユーザーさん向けに情報発信を継続しつつ、フォロワー数=10,000人を目指している(汗