2025-01-01
株式会社船井総合研究所
アミューズメント支援部
シニア経営コンサルタント
パチンコグループマネージャー 渡邊 龍信
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パチンコグループマネージャー 渡邊 龍信
生き残りをかけた戦い! 2025年 パチンコホールが取るべき戦略とは
業界情報
本コラムをお読みいただきありがとうございます。船井総合研究所シニア経営コンサルタントの渡邊龍信です。
新年のご挨拶
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2024年はパチンコとスロットの二極化が鮮明になった一年
2024年のパチンコ業界は、パチンコとスロットの二極化が鮮明になった一年でした。スロット市場は、スマスロの登場を機に好調を維持し、多くのホールがスロットの増台を進める一方で、パチンコ市場は依然として低迷が続くという状況です。
パチンコにおいては、設置台数が前年比で12万台以上減少しており、アウトがほぼ半減している一方で、粗利は1.5倍弱の増加を見せています。これは、射幸性の高いラッキートリガー機の登場によって粗利率が上昇したためですが、実際にはユーザーが他のパチンコ機から移動しているだけで、パチンコ全体の稼働状況は改善していません。そのため、パチンコ市場は依然として厳しい状況が続いており、特に4円パチンコの不調が目立ちました。
一方、スロット市場では、設置台数の減少は1万台程度に留まっており、スマスロの登場を機に稼働が回復しています。これは、スロットが設定によって稼働を維持できるため、設定運用による集客力アップが功を奏していることが大きな要因です。特に、高射幸性機種の設置シェアが倍増していることからも、その影響の大きさが伺えます。そのため、スロット市場は全体として堅調に推移していました。
前回にも言いましたが、これは2025年も変わらないです。
2024年12月売上は
先月対比で
4円 | 103% |
1円 | 98% |
20円 | 107% |
全体 | 103% |
でした。
また去年対比では
4円 | 83% |
1円 | 109% |
20円 | 100% |
全体 | 98.2% |
でした。
ちなみに2023年の数字は
12月全体は売上ベースで
先月対比
4円 | 110% |
1円 | 99% |
20円 | 108% |
全体 | 106% |
去年対比
4円 | 92% |
1円 | 102% |
20円 | 119% |
全体 | 105% |
でした。
2024年を振り返って業績を上げたホールとそうでないホールとの間には、戦略の違いが見られます。
業績を上げたホールは、以下の特徴を持っていました。
業績を上げたホールと上げないホールの差は?
- スロットの増台と設定運用に注力
- パチンコ市場が低迷する中、スロット、特にスマスロの導入を積極的に進め、設置台数を増やし、さらに設定を効果的に活用することで、顧客の稼働を維持し、再来店を促しています。
- 顧客ニーズの的確な把握
- 高射幸性機種だけでなく、中射幸性機種もバランス良く導入し、多様な顧客ニーズに対応しました。例えば、コイン単価3.0円前後の中射幸性機種の活用が挙げられます。これにより、特定の層に偏ることなく、幅広い客層からの支持を得ることができていました。
- 店舗の魅力向上
- 店舗の内装や照明を工夫し、非日常感の演出や高揚感を高める施策を実施しました。また、顧客が快適に過ごせる空間作りや、店舗スタッフの丁寧な接客も重要な要素となりました。
- データ分析に基づいた緻密な戦略
- 過去のデータや競合店の動向を分析し、それに基づいて機種構成や設定配分を決定しました。これにより、顧客ニーズに合致した効率的な店舗運営をしていました。
一方、業績が伸び悩んだホールは、以下のような傾向が見られました。
- 依然としてパチンコに依存
- パチンコ市場の低迷にも関わらず、スロットへの転換を躊躇し、依然としてパチンコに依存する経営を続けていました。特に、4円パチンコへの依存度が高く、1円パチンコやスロットへのシフトが遅れました。もちろん4円を捨てろという話ではありません。主軸をスロットにしたうえで、ぱちんこの集客に活かせたかどうかです。
- データ分析の不足
- 顧客ニーズを十分に把握せずデータ分析を怠り、顧客のニーズを十分に把握しないまま、店舗運営を続けていました。「常連客」という言葉に縛られ続けている店舗に多く見られました。
- 情報の収集不足
- 業界トレンドや、情報に疎く、Web販促や集客を業者に言われるがままに実施をしている傾向
これらの結果から、2024年のパチンコ業界においては、顧客の多様なニーズを捉え、スロットの強みを最大限に活かす戦略が、業績を上げる上で不可欠であったと言えるでしょう。特に、設定運用は、稼働を維持し、再来店を促す上で重要な要素であり、データ分析に基づいた戦略的な店舗運営が、今後のホール経営においても重要になるでしょう。
2025年の課題とは?
2025年も引き続き課題になり続けるのは以下の通りです。
- ユーザーのパチンコ離れのより深刻化
- ぱちんこ高射幸機への依存
- 遊技機の仕様
- 顧客獲得のための抜本的な対策
- 店舗の大型化、スロ専による競争が激化
- 小規模店舗の淘汰
- 店舗運営における人材不足
- そもそもの業界への興味関心の薄れ
- 業績をあげようと思っていない
等があげられます。
2025年は広告規制やBTを含むAタイプスマスロの市場導入、ぱちんこの規則改正、業界が大きく動く話等今までよりもさらにすすんでいくことでしょう。少なくとも2024年の業界の波に乗れていないのに、今後も乗り続けることは不可能です。
1~3月はよい中古を購入し増台を進めることができるかにかかっている
1~3月の乗り切る方法は、いかによい中古を購入し増台を進めることができるかにかかっていると思います。市場もあまり良い動きにはならず、話題となることもありません。そのため、仕掛けの数がものをいうでしょう。
すでに動かれている法人は動いています。準備を怠っていてはすすめない業界のため、機械同様早く動いていくようにしましょう。ライターなどの演者系を肯定するわけではありませんが、イベントが多く実施されるエリアの現場の方は、計画を立てるのが非常に上手な傾向にあります。
それだけ、事前に計画を組まなければならないからです。イベント規制が強いエリアほど、事前準備が必要になりますので、気を付けましょう。
本コラムが、皆様の経営戦略の一助となれば幸いです。今後とも、パチンコ業界の発展に貢献できるよう、尽力してまいります。
株式会社船井総合研究所
アミューズメント支援部
シニア経営コンサルタント
パチンコグループマネージャー 渡邊 龍信
アミューズメント支援部
シニア経営コンサルタント
パチンコグループマネージャー 渡邊 龍信
国立大学 理学部数学科卒業。国立大学大学院 応用数学科卒業。アミューズメント支援部新卒入社史上最年少でチームリーダーに着任から、最年少でグループマネージャーに着任。400台以上の大型スロット専門店立ち上げ実績は10件以上携わっており、スロット増台成功実績は40件以上、多数の20円スロット業績アップ実績をもっている。直近2年間の高射幸機に頼らない増収増益方法を指導しており、20円スロットの業績アップの実績は、元スロプロで培った超ユーザー目線と、大学での数学の知識を駆使した数理マーケティングで「 高精度な 」時流予測とスロット機種分析によって実現している。