CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2024-10-15
有限会社トータル・ノウ・コネクションズ 代表取締役社長   髙橋 正人
スマパチにおける【オールラッキートリガー仕様】の機種に、パチンコの未来を期待して良いのだろうか?



そもそもパチンコ機のスペックには、「日工組が決めた総量規制の上限値」があって、元々【9,600個】であったものが、様々な「射幸性の抑制」の一環として最終的に【6,400個】と言う数値に収束していました。

しかし「2018年施行の改正風営法」自体が、『そもそも射幸性を抑えた遊技機規則になっている』訳で、その改正風営法施行以降6年が経過して、様々な内規変更が成され現在に至る事になる。

そのなかの一つとして、2023年に「総量規制の緩和」が検討され再度【総量規制の上限値9,600個】と元に戻され(緩和され)、その名称と【ラッキートリガー】(※以下「LT」表記)と呼称し、【2024年3月】からのリリースとなりました。

更に、P機に対して「e機・スマパチ」に限り内規緩和され、「総量規制=9,600個」の上限値は変わらないものの、LT出現率の自由度の幅が広がりその方向性の一つとして【LT特化型】として【RUSH=オールLT】と言う究極の仕様が2024年11月から登場する事となった。
さて、現状最強の射幸性を有するスペックとして、『その存在は有益なのか?』、はたまたそのスペックは『パチンコの救世主となれるのか?』、ここにて検証してみたいと思います。

【オールLT】タイプ機種の最初の登場機種は「2024年11月」のリリースから始まり、現在(10月15日)までに【5機種】のリリースが予定されており、以下の通りになる。



この5機種において、スペック比較する際、メーカー発表値だけで個別にイメージする事は、「イメージのミスリードになる」可能性があり、全体像を見失う事になりますので、注意が必要です。

ココで重要になるのが、常に【合算確率で比較検証する】と言う事。


今現状では、メーカーから発表される情報において「図柄揃い確率」の表記が中心となっています。
上記<押忍!番長>以外は、「図柄揃い確率」に加え、本来「チャージ当り(小当り)」があるのですが、その「チャージ当り」の当り確率の数値公表が曖昧で、今回の5機種比較をする際に非常に困った事になっています。

具体的には・・・チャージ当りが無い<押忍!番長>は「初当りからのRUSH突入率=25%」と公表されていますが、他4機種は「図柄当りからのRUSH突入率 = 50%(以上)」と公表されています。

そうなると、スペック等の比較する際に「当り ⇒ LT突入率」の数値で、機種評価にミスリードが発生する可能性もある。
だからこそ、チャージ当りがある機種においては、『必ずチャージ(小当り)確率の確認をする』必要がある事を、あらためて警鐘を鳴らしておきたいと思います。

【LT出現率】と言う数字は、機種評価に必要か不必要?


ココで「オールLT」機種における【LT出現率(突入確率)】について、幾つか確認しておきたいと思います。
先ずは、【LT出現率の計算方法】を確認。

<計算式> ⇒ <(1÷合算時のLT突入率)×合算時のTS> = 出現率TS(確率分母)になる。

<一例>
(からくりサーカス2)⇒(1÷0.265)× 199.9 = 3.774 × 199.9 = 754.3 ⇒ 1/754

当然ですが、この数値が低いより高い方がRUSH(LT)に出会えるチャンスは増える訳で、過去のP機のライトミドル系LT機の高稼働スペック「同=1/1,000~1/1,200」よりも高い(甘い)数値である事が分かります。

ところで、この「LT出現率が高い」と言うスペックは、本当に『高い射幸性機と言えるのか?』
結果的には確実に『射幸性は高くなっている』と言えるでしょう。
そもそも「図柄揃い」以外は単なる小当りであり、極論「ベース値に加算される」程度の出玉。その上で「合算確率=1/199」程度だとしても、「図柄揃い=1/500」であれば、その確率が初当りの大当り確率になる訳で、明らかに「大当り確率は低くて、出玉性能が高い」と言う高射幸性マシンになっていますね。

このスペック機が、『次期パチンコの救世主となれるのか?』


最初に一つ「賛否評価すべき事」があります。それが【スマパチに対する評価】です。
つまり、現在の店舗状況において『スマパチの稼働維持が困難である』と言う状況の有無になる。
もしP機に対して、スマパチの集客~稼働が脆弱であれば、スペック以前の問題であり最初からマイナス状況に陥っている事になり、それに対して「希望的観測での機械評価」は危険でもある。

それを踏まえた上で・・・『やっぱり期待してみたい』と思っています(汗)。
なので・・・導入において必要な事を検証してみる。

(1)「合算確率」でアナウンスしない事。


ユーザーにとって「当たりやすい確率」は利点に思う人も居ますが、ユーザーの基本思考は「甘い確率=出玉少」と言うイメージが存在する。最高の出玉性能を謳う「オールLT機」である以上、その店舗アナウンスに疑心暗鬼の心情を生み出す。
基本的には、堂々と「図柄揃い確率(低確率)」を謳った方が良いと思います。

(2)「RUSH = 全てLT」を全面プッシュに。


P機で高い支持を集めている「RUSH突入後の、LT突入率20%以上」と分類されるスペックだが、それに対して『スマパチだから出来る「RUSH = オールLT」!』と、キチット差別化し、特殊性を前面に打ち出す事が必要かと思われる。
これは、現行の「P機・ライトミドル系LT機」のユーザーに対して、その選択肢を現存させる事に注力する為である。そして、現状『キツすぎる』と思っているユーザーに対して、もっと過激なスペック機と暗に比較する事で、多少でも現状の玉単価を納得してもらい、稼働貢献力を維持して欲しいと思います。

以上の2点について意識すると共に、兎にも角にも『現在のLT機とは異なる最上位スペックである』と言う存在感をユーザーに伝える事で、次世代パチンコの1つとして【オールLT】仕様に注目したいと思います。


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このコラムを書いたのは
有限会社トータル・ノウ・コネクションズ 代表取締役社長   髙橋 正人

1962年(昭和37年)4月29日、愛知県名古屋市に生まれる。その後、幼少期に長野県に転居し、20歳の時にパチンコ店勤務を始め、その後、「ホールスタッフ~店長職~本部長職」を経験し、「パチンコの運用・活用に特化したコンサルタント」として39歳で独立し現在に至るが、現在「業界歴最長クラスのコンサルタント」になってしまった。

有限会社トータル・ノウ・コネクションズとして、2005年5月、長野県長野市に設立。
英語表記「Total Know Connections」の頭文字をとって、通称「TKC」として活動中。

現在、X(旧Twitter)アカウント【ゼウス髙橋】として、業界向けだけでは無く、ユーザーさん向けに情報発信を継続しつつ、フォロワー数=10000人を目指している(汗