本稿執筆は11月1日。市場の景況感は以前にも増して悪いと感じている方がほとんどだろう。そしてまた、格差は広がる一方で消耗戦が続いているというのが私個人的な雑感。

さて、こうした格差の背景には「4円パチンコ」の業績が影響しているとお伝えしたのが前号（https://column.cfy.jp/single.php?bid=283）までの話。

本稿では、具体的にどの辺りがポイントになっているのかについてまとめると同時に、「エヴァ16」の評価に触れながら文字を走らせることとする。

ミドル集団の延べ遊技者割合は6割超え

現在、4円パチンコ市場はミドル海を除いたミドルカテゴリで55％の延べ遊技者を創出している。ミドル海を足したその規模（以下、「ミドル集団」という）は64％にまで膨れ上がる。

したがって、現在の4円パチンコ市場の攻略方法はミドルカテゴリにあるといっても過言ではないだろう。つまり、「4円パチンコ」の業績は「ミドル集団」をどれだけ制圧出来るのかがカギを握っており、競合店間の争いにおいては「ミドル集団」のシェア争いでほとんどが決まってしまうと分析している。



そうした環境下で少しずつユーザーの嗜好は変化している。昨年であれば「高速ミドル」が主流だったが、「スマパチ」の登場、さらにはマイルドに遊べる「Pミドル（時速40,000個未満）」へユーザーは移行している。（図2）



上図から読み取れるように、プレイヤーにとってあれほどまでに熱くなれた“ スピード感 ”という体験は、現在においてはそれほど響かないことを示唆しているのかもしれない。こうした背景には玉単価の問題から生じる「遊技単価」の上昇や「消費時間」の問題が関係していると分析している。

その証拠にプレイヤーの遊びかたを表すデータは、昨年との比較において減少している。60分以上遊技するプレイヤーの割合（60分以上遊技者割合）が10％を下回ったのに対して、15分以内で遊技をやめてしまうプレイヤーの割合（15分以内遊技者割合）はほとんど変わっていない。ゆえに、遊技時間は30分を下回り、長く遊べるような遊技機ではないことがプレイヤーの動向から示唆されている。（図3）

エヴァ16への期待

年末に登場する「エヴァ16」が最近のトピックスだと思うが、こうした“ プレイヤーの使用文脈 ”のひとつとなる「嗜好」について分析を進めると、現在のニーズと合致していると考えられそうである。ロングST機の「エヴァ15」がそうだったように、「エヴァ16」も「ミドル高速」（時速40,000個以上）機にはならず、マイルドに遊びやすい機種になるだろう。

だからこそ、現在、遊びにくい環境となってしまった4円パチンコ市場との相性は良く、「準備は整った」と個人的には考えている。
参考までに、過去、大型連休前にリリースされた機種の延べ遊技者割合を図示しておく。



上図のとおり、販売時期や台数に鑑みれば導入週では“ 最低9％～ ”の延べ遊技者割合を創出すると推測できそうである。ともすれば、個別の機種評価とは別に“ マーケットインパクト ”は大きいはずなので、良くも悪くも市場は大きく動くと分析している。したがって、いかざるを得ない機種だと位置づけられるだろう。

あとは、貴社ごとで「最悪のシナリオ」、そして「最高のシナリオ」を想定しながら、「リスクをどこまで許容しておくのか」という準備から逆算して導入の可否を模索していただければ、正しい解は導きやすくなるだろう。

参考までにお伝えしておくが、「ガンダムシード」が示した延べ遊技者割合は2021年から起算して“ 過去最大 ”となる。

今年の年末、「エヴァ16」がこの数値を超えていけるのか注目しているのと同時に、パチンコ市場が大いに盛り上がることに期待している。

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