CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2020-11-04
株式会社船井総合研究所
アミューズメント支援部
シニア経営コンサルタント
パチンコグループマネージャー   渡邊 龍信
大阪の二物二価で業界は変わるのか?


まだまだコロナウイルスの脅威は続きますが、情報や行動には慣れてきたのではないでしょうか?
東海道新幹線の予約状況も、去年対比で25%→44%にまで回復をしているということで、ビジネスやGoToトラベルを活用した行動
も回復の兆しとなっています。ただ、様々な国の補助があったとしても、それでも44%という状況です。厳しい状況は続いていますが、パチンコ業界でのメディアからのバッシングや、他の業界のことを考えると、まだ良い回復率ではあります。
全体の状況から言うと10月も昨年対比80%の状況です。
4円P:81%、1円P:78%、20円S:91%といった状況になっています。
先月も同様でしたが、パチンコ市場の回復が滞っており、これ以上の回復は難しい状況です。スロットも回復率は高いものの、話題機が入ったにも関わらず、回復はなく、こちらも頭打ちとなっております。
前回の記事でも述べたように、市場客が80%の状況だと、店舗の客数シェアが5%上がったとて、去年数字には及ばないといった状況です。やはり、商圏範囲1.5倍戦略が必要なのは確定の状況です。企業として粗利額は必要になりますので、売上を上げる、粗利を上げることに奔走し続けなければなりません。売上を上げにいく取り組みが出来る店舗は良いのですが、その行動が出来ない店舗もあるため、粗利率をなんとかしないといけない状況になります。この状況下で話題にあがってくるのは、分岐割数ですね。大阪で二物二価が正式決定されたということで、どのように動くか悩まれている企業も多いかと思います。
最初に触れておくと、大阪で実施が可能な理由は、「しおり」と「ペンダント」の二つの景品が存在していたからです。別々の景品であるため実現可能でした。他の県の多くは1つの景品で実施してるため、そこの壁を破らないことには波及しませんね。

店舗戦略で重要な分岐割数ですが、今回の大阪では、「ほぼ等価」に近い形までいけるようになるため、戦略の幅はとても広がっていきます。
分岐割数に正解はありませんが、基本は「 そのエリアの一番店に合わせる 」ことが必要となります。
では大阪の一番店はどうなるのか?
11.2割分岐で行ってた店舗がPS共にいきなり等価に近くするのはハードルが高いです。スタートも大きく変わってきますし、取りたいときに粗利が取れません。
オーソドックスだと、パチンコ11.2割、スロット10.2割分岐の当たりが妥当な線です。超大手は、パチンコスロットともに10.2割分岐のようですが、なかなかそこまでいけません。今のパチンコマーケットを考えても、10.2割にまでした時の粗利損失と集客数が合わないため、2番店との差を広げに行くならば、パチンコ10.8-11割でいくようになるでしょう。シミュレーション上でのSは大した差はないのですが、2番店以下と同じSで交換率良いってなると客数シェアを上げられます。
その状況で、2番店以下はどう立ち向かいますか?
最低でもスロットは合わせに行く必要があります。メインのピークである平日夜、休日昼が売上の中心になり続けることもあるため、ここの部門で稼げないと非常に厳しいためです。
パチンコに関しては、正直手も足も出ないと思います。毎月の機械代はもちろんのこと、分岐割数を下げたとしても、Sの差も埋められないでしょう。そのため、従来のやり方ではなく、広域集客や、スロットとの回遊性を何よりも重視したパチンコ構成でなければ、真正面から立ち向かえないことになります。よって11.2割分岐のまま営業し続けることになってしまいますが、今までの営業モデルで続けても、負けが確定してしまいますので注意をしてください。
スロットが10.2割になった際に起きることは、平均設定が下がることによる客滞ダウンです。これはどこの店舗でも起こるので、その分集客をしないといけません。ただ、駅前店舗においての変化は少ないです。少しでも長く遊技する平日昼客だと、設定は死活問題になりますが、夜の短時間遊技においては、単なるオカルトと引き勝負ですので、むしろ平日夜稼働は上がりやすくなります。休日はピークを持ってくるように調整すれば、比較的業績は作りやすいです。船井総研のモデルで、二物二価エリア限定スロット専門化モデルが好調となっているため、大阪でも波及していきそうです。

大阪は今後もスロットの客数シェア争いが激化することになります。
勝ち金額重視ユーザーは広範囲に移動しますし、サラリーマンでさえも行動範囲は広がります。
冒頭でも触れましたが、20円スロット部門の足元客は昨対90%という状況であるため、シェアを獲得するだけでなく、web集客を活用して商圏拡大が必須となります。LINE@なんかを想像していたら、それは販促なのでそういう次元のものではありません。しっかりと集客をしていきましょう。
高射幸機が撤去されている中、その遊技客が何を遊技するのか。そこまでを分析して機械購入や、集客を行なってほしいと思います。その鍵を握るのは、5.9、6.0号機バラエティです。
読者の中では、「無理だ」と思っている方も多いと思います。そんな方に最後に一言だけ言わせてください。
「店舗を見にいきましょう」
3時間、4時間かけてでも見にいきましょう。いろいろな情報が簡単に手に入る状況です。だからこそ、目で見て、体験して、それを再現することが今はなによりも重要です。
決して諦めずに、出来ることをやり続けましょう。
このコラムを書いたのは
株式会社船井総合研究所
アミューズメント支援部
シニア経営コンサルタント
パチンコグループマネージャー   渡邊 龍信

国立大学 理学部数学科卒業。国立大学大学院 応用数学科卒業。アミューズメント支援部新卒入社史上最年少でチームリーダーに着任から、最年少でグループマネージャーに着任。400台以上の大型スロット専門店立ち上げ実績は10件以上携わっており、スロット増台成功実績は40件以上、多数の20円スロット業績アップ実績をもっている。直近2年間の高射幸機に頼らない増収増益方法を指導しており、20円スロットの業績アップの実績は、元スロプロで培った超ユーザー目線と、大学での数学の知識を駆使した数理マーケティングで「 高精度な 」時流予測とスロット機種分析によって実現している。
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