CFY COLUMN
シー・エフ・ワイ コラム
2024-04-10
株式会社THINX代表取締役   𠮷元 一夢
LT機が向き合うべき現実とは ~リスクとリターンのバランスが悪いLT機 ~

統計士(データアナリスト)が魅せるデータでデザインする未来の姿「LT機が向き合うべき現実とは ~リスクとリターンのバランスが悪いLT機 ~」



ラッキートリガー(以下、「LT機」とする)の動向が感度の高いトピックだと思うので本稿ではその辺りについてまとめることとする。

これを執筆しているのは4月2日、「LT機」が登場して4週が経過したタイミング。現在、「LT機」で創出できたプレイヤーは約9%となり、1週目から安定したマーケットを形成している。いまのところ、一定の規模を保ち存在感を示している様子がうかがえる。しかし、プレイヤーの遊びかたに関するデータの分析を進めると危惧される部分がいくつか浮かび上がっているので後述でまとめることとする。

まず、遊技時間というデータについて分析を進めると「eReゼロ」や「エヴァ16」に比べると導入週から「LT機」はかなり低い値を示していた。導入週で最も高い値を示していた「LT北斗」で45分となっており、プレイヤーの粘りを誘うほどの魅力が感じられない状態が確認できていた。その後の経過観察を進めても漸次的な下降が続いており、「長く粘る」という行動を喚起できていないことが、いまの「LT機」の素直な立ち位置と評価である。


図1:「遊技時間」 ©THINX-LAB. OLAP SIS ©SUNTAC「TRYSEM」よりデータ引用


次いで、遊技時間別の遊技者割合を見ても苦戦している状況が確認できる。60分以上の遊技を行うプレイヤーの割合は低く、一方で、15分で遊技をやめるプレイヤーの割合は高い状態が続いており厳しいと言わざるを得ない。
参考までに以下に、60分以上遊技者割合と15分以内遊技者割合をまとめた。


図2:「60分以上遊技者割合」 ©THINX-LAB. OLAP SIS ©SUNTAC「TRYSEM」よりデータ引用



図3:「15分以内遊技者割合」 ©THINX-LAB. OLAP SIS ©SUNTAC「TRYSEM」よりデータ引用


ではなぜ、こうした結果となってしまったのかについて考えてみることとする。原因のひとつとして考えているのが、勝ちのバランスの悪さに問題があると分析している。

結論から言えば、「リスクは高いがリターンが低すぎる」部分に問題があるということ。
「LT機」の遊技単価はすでに皆さん承知のとおり「ミドル機」並みの単価を有している。しかし、その結果得られる勝ち体験は低く、「ミドル機」というよりかは、「ライトミドル機」並みの体験しかできない状態となっている。これであれば、「LT機」を遊技する理由がなく、普通に「ミドル機」を遊技している方が、楽しい・魅力があると感じて然るべきだと考えられるだろう。ゆえに、遊技時間は延びず爆発的なインパクトを残せていないのだと推測している。
参考までに以下に、勝ちの質を表すバランスシートをまとめた。


図4:「勝ちの質を表すバランスシート」 ©THINX-LAB. OLAP SIS ©SUNTAC「TRYSEM」よりデータ引用
※横軸に勝ち金額、縦軸に勝ち率を置き、バブルのサイズはRvの大小を表現した図。バブル上に記載されている数字は導入週を表したもので、1週目から12週目までの経過観察を進めたバブルチャート。


初陣を飾った「LT機」の動向から見えてきた問題は、リスクとリターンのバランスが悪く、プレイヤーは粘らないということなので、この辺りの改善に期待しながら戦況を見守りたいと思う。ひとまずの評価としては、プレイヤーが望むモノとズレが生じていると感じるところだ。

■THINX-LAB.


https://www.thinx-lab.com/

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このコラムを書いたのは
株式会社THINX代表取締役   𠮷元 一夢

𠮷元 一夢 よしもと・ひとむ
株式会社THINX 代表取締役

データアナリスト・統計士
1986年生まれ。文部科学省認定統計士課程修了。
現在は、IT企業のシステム開発やソフトウェア開発にアドバイザリーとして従事しながら、パチンコホール・戦略系コンサルタントとして活動。
そのかたわら、2021年、会員制情報配信サイト「THINX-LAB.」をリリースし、知見やノウハウの提供を開始。2022年、業界紙「TRYSEM CROSS」を出版し、現在も刊行中である。

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